応急危険度判定活動


平成23年(2011年)3月11日(金)午後2時46分頃、三陸沖を震源としたマグニチュード9.0の地震が発生。
弊社所在地である、茨城県日立市においても、震度6強の地震に見舞われました。
3月19日、「茨城県建築士会日立支部」の要請により、弊社の「茨城県震災建築物応急危険度判定士」も応急危険度判定活動を開始いたしました。


【目的】

応急危険度判定は、地震により被災した建築物について、その後の余震等による倒壊の危険性ならびに建築物の部分等の落下あるいは転倒の危険性をできる限り速やかに判定し、その結果に基づいて恒久的復旧までの間における被災建築物の使用にあたっての危険性を情報提供することにより、被災後の人命に係わる二次的災害を防止することを目的としています。

【適用範囲】

この応急危険度判定は、地震被害を受けた木造、鉄骨造、鉄筋及び鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)の建築物に適用します。
組積造(ブロックや石を積んで造られた建築物)および塀は適用範囲外です。

【判定内容による対応】

危険度判定の結果を建築物の所有者や使用者、または所有者や使用者以外の第三者に知らしめるため、原則として所定の判定ステッカー(「危険」「要注意」「調査済」)を建築物の出入り口などの認識しやすい場所に貼り付け、所有者等に判定内容について説明を行います。

【判定の変更】

判定が行われた建築物等について、後に崩壊等の危険を防ぐための有効な処置が講じられた場合、あるいは被災状況に関する、より詳細な調査が行われた場合、また、当初判定を行った後に余震により被害が進んだ場合などには、当初の判定を変更することがあります。
比較的大きな余震が起こった場合には、再度の応急危険度判定を実施する必要があります。

【注意】

応急危険度判定は、人命に係わる二次災害を防止することが目的なので、建物の恒久的な使用の可否を判定するものではありません。
また、災害復旧を目的とする補助金受給申請のための罹災証明等とも連動はしていません。


日立市における具体的な活動状況

本来ならば、行政(日立市役所)が中心となって、その指示のもとに調査班を編成して、各割り振り地域の建物の危険度を調査するのですが、現状は、行政(日立市役所)に建物所有者から調査依頼があった場合のみ、「茨城県建築士会日立支部」に調査要請がなされ、所属会員のうち判定士の有資格者が現地で判定活動に入っています。
危険度判定のステッカーは、行政(日立市役所)からのステッカーの用意および貼り付けの指示がありませんので、所有者及び使用者に対して口頭で伝えるのみで、第三者への注意の喚起は行っておりません。
調査費用に関しては、有償なのか、無償なのかが決められていないため、実質、判定士のボランティアとなっています。

また、この依頼をされる建築物の所有者または使用者の方の中には、「応急危険度判定」と「耐震診断」の区別の付かない方がおられ、現場で混乱を生じています。
ちなみに「木造住宅耐震診断」の場合は、建築物の所有者が申請書を行政(日立市役所)に提出して、診断を受けなければならず、これには補助金が出ますが有料です。
(弊社には「日立市安全・安心・住まいる助成事業」業者に認定されている木造住宅耐震診断士がいます)

基本的には「応急危険度判定」は地震の被災後、その建物を使用またはその建物に居住しても大丈夫かどうかを診断する作業で、「木造住宅耐震診断」は地震発生時に倒壊等による災害を防止するための診断ですので、全く別の物です。

(平成23年4月15日現在)

   
    応急危険度判定の様子

    一例:建物の傾き検査(柱の傾きをみる)

    弊社に直接、診断判定の依頼があった物件。
    診断の結果、総合的に判断して「危険」と判定。
    余震があった時には、必ず外へ避難することをアドバイスした。
    (建物内に入らないようにという強制力はないので・・・)

今後の動向

『震災復旧のための震災建築物の被災度区分判定基準及び復旧技術指針』講習会・受講

平成23年4月28日(水) 茨城県建設技術研修センターにて

主催:(社)茨城県建築士事務所協会
    (社)茨城県建築士会
共催:(財)日本建築防災協会
後援:(社)日本建築士事務所協会連合会

被災度区分判定は、応急危険度判定が実施された後等に建築物の復旧を目的とし、震災建築物の構造躯体に関し被災度を判定し継続使用、復旧の要否を判断するものです。
今回のこの講習会は、被災度判定技術者を養成するための講習会で、弊社一級建築士(応急危険度判定士有資格者)が受講します。
これにより、建築物使用の可否等を判定する応急危険度判定後に必要とされる被災度区分判定の実施や被災住民の住宅相談のために必要となる技術を身に付けます。
受講後、「震災建築物の被災度区分判定・復旧技術者」名簿掲載と技術者証が発行されます。


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